「出て良かったね」に変わるとき

利用者さんの「便」を「出て良かった」と思えるとき


施設で働きはじめた頃は、私自身が早起きが苦ではなかった為、
シフトは朝7時からの「早番」を多く入れてもらっていました。

早番のときはそれぞれの居室で眠る利用者さんを起こして、着替えをして、排泄や洗面や歯磨き等を済ませ、
食堂へ誘導するお仕事からはじまります。

決められた時間内に食堂へ連れていかないと、利用者さんの食事が遅くなってしまいます。
食事が遅くなってしまうと、昼食までの時間が短くなってしまうし、その後に入浴が入っていたら、入浴の時間が短くなってしまうので、
朝は本当に「戦い」でした。

特に最初の頃は手際も悪いし、時間配分も良く解かってないので、
ただただ必死で、時間内に終わらせるという気持ちだけが先走りし、何をしても空回りしていることが多かったと思います。苦笑 

立位を保てず、常時オムツの利用者さんの排泄介助はベッド上で行います。
朝から便が出ているときは、洗浄と清拭を念入りにしなくてはいけないため、
いつもより時間がかかってしまいます。
なので「今日は便が出てなければいいなぁ・・・。」などと思いながら働いていたんです。

先輩介護士さんが「今日は●●さん、便が出て良かったわぁ」と嬉しそうに言ってるのを見て、私は内心「時間がかかるのになんで?」と思っていたんです。
けれど便というのは、やはり出なくてはならないもの。健康の証。
出ないことを気にされる利用者さんも結構いるのです。

便が出ると「今日は出て良かった」と、笑う利用者さんもいます。
自分の体調が良好だとやはり嬉しいですからね。

そういうことがだんだんとわかってくると、朝の排泄介助で、便が出ていると
「今日は出て良かったですね~♪」と、笑顔でいつの日か言えるようになった自分がいました。

私が「朝、便が出ていると時間がかかってしんどい」と言っていた頃
先輩介護士が「そのうち、「出て良かった」に変わる日が来るよ」と言ったことがあります。

その言葉の意味がようやく解かりました。
「介護者」として、一歩、自分なりに前進した瞬間だったと思います。